プロローグ  時を駆ける閃光

 

何億年も昔、2人の神が世界を作った。

約4万年前────────────
至高神との戦いに人類は勝利した。

1万8000年前───────────
2人の王の激突が、新たな時代の扉を開き、
怪物の時代が終わりを告げた。


神話が終わり、神武天皇即位紀元
すなわち人類史が始まったのは、
1万6000年前の、ほんのつい最近の話だ。

そこから更に時が流れ、1975年に初めて異能力者が観測され、その後第2次世界大戦を越え人々が戦いを忘れつつあった2023年、人々は恐怖に包まれる事となる。
突如、空に大陸が現れ、怪物が復活し、新たな脅威が世界に跋扈するようになった。

能力を持たない者たちと、異能力者、浮かぶ大陸の者達は団結し、新たな脅威に対抗する事を決めた。

 

それから、26年の時が過ぎた…。

 


〜浮遊大陸 kun帝国 追放列車1号車〜


─────────静かだ。
車内からは、外の音は聞こえない。そのためか特定の人間の、耳障りな談笑が聞こえてくるのみで、かなり静かだ。

 

今、どこを移動しているのだろう。
俺の乗っている列車は窓が閉じられていて、外は見えないから、何処を移動しているのかもわからない。今の状況で一つわかるのはこの列車を降りたら、俺はもう帰れないのだという事くらいだ。そう思って乗り込んだのでどうでもいいのだがな。


今は巡回の兵士が2人、何やら談笑しながら俺と乗客達を見張っている。……この列車に乗っているのは追放される者達。故に帝国の兵士が複数人乗り込み、俺達を監視しているわけだ。


しかし、ああやって気の緩んでいる馬鹿どもを見ていると滑稽で仕方がない。つい口元が緩んでしまう。


「おい、そこのお前!何を笑っている」

兵士はめざとくそれを見つけて俺に言った。


「……kun帝国の兵士があまりにも滑稽でつい笑ってしまったよ。悪かったな」

「なんだと!?」

「何を勝ち誇っているのか知らないが……お前達はまだ何も得ていないんだ。お前達が持っているのはこの浮遊大陸のみ。……つまりはお前達は井の中の蛙だ。大海を、下の国を知らないお前達は見ていて滑稽だぞ?」

「……貴様……殺してやる!!」


兵士が銃を構えた。

「……やれやれ、だ」

俺は素早い動きで右脚を振り、兵士の顎を蹴り上げた。兵士は鼻血を噴出しながら上の天井に鈍い音を立てて突き刺さった。腕はだらんとして銃を落としたが、指が動いている所を見ると気絶しただけのようだ。俺はその兵士の銃を拝借し、中の銃弾を抜き取った後、自分の座っていた席の後ろの窓を開けて、外へ投げ捨てた。

もう1人の兵士がこっちに向かって走り始める。ここまで25秒もあって近付いてこないとは、本当に愚かだな。


「無駄だ。銃が異能者に通じるかッ!!」

俺はそう言って、左手に持った銃弾を一つ右手に持ち替えて、強く握る。すると銃弾の周りを青い光が包み、手を開くと同時に自動的にもう1人の腹に直撃して貫通した。銃弾は後ろの扉に当たり、ポトっと落ちた。もう1人の兵士は腹と頭を抱えながらうずくまった。


「な……なんだこれ……変な物が痛みと共に体に流れ込んでくる……この嫌悪感は……これは、"感情"なのか……まさかッ!!そんなッ!!」

「……感情は大きなエネルギーを生み出す。それは全てを貫く弾丸にも、あらゆる物を破壊する爆弾にもなりうる究極の力。俺はお前に"嘲笑
"の感情で攻撃した。お前の頭の中を破壊するのにはちょうど良いと思ってな」

「き……貴様……帝国に刃向かうと、どうなるのか……わかって……い る の か」

兵士はそのまま気絶した。

 

乗客がざわめきだし、俺に視線を向けた所で、銃声が耳に入ってくる。前の車両───2号車───で戦闘が発生しているようだ。恐らく俺の仲間だろう。

俺はもう1人の兵士のズボンのポケットからカードキーを取り出して奥の扉へ行き、扉の横のセンサーにカードをかざし、奥の扉を開いた。


「……おい、ビッキー。合図忘れてるぞ」

「悪かったな。あまりにも滑稽で我慢出来なかった」

「一月前まではお前もあいつらの仲間だったってえのに……まったくよ」

「そうだったな。……だがまぁ、ああまで滑稽な振る舞いをしていたわけではないと言っておく」

「そうかい。だったらあれだな、今まで頑張ってたのがバカらしくなってくるな」

「そうだな」


そうやって話をしていると、前の車両から何人もの兵士がやってくる。

「……おいビッキー、剣」

ファマスが剣を渡してきた。俺の持っていた剣銃、"ブレイズエッジ"。剣の鞘の下に銃がくっついている、現時代を象徴する武器。


「……ああ、ありがとう。……じゃあ行こうか」

「よし。……さぁ、暴れるぞ!!」


俺達は次の電車へ、扉を通って乗り移る。
そして兵士を斬って撃ち抜いて薙ぎ倒し、どんどん奥へと進んでいく。

何人いようが関係ない。
俺達は、もう止まらないんだ。


電動車の一つ前の車両まで来た。
ファマスが運転席へ走っていったのを確認し、俺は現在地を確認するために、車両の窓を
開けた──────────


────────瞬間、脳裏に浮かぶ"映像"。

 

「……?」


何かと重なる。
しかし、それが何かわからない。

わかる事は、見えた映像に、確かに─────俺と同じ、桃髪の人間が写っていた事だ。

 

一抹の不安を抱きながら、
俺は列車に揺られ、窓から外の景色を眺める。


なんだろうと関係ない。
俺は、俺の大切なものを取り返すだけだ。

 

 


Historia Repetit FINAL FANTASY XIII  開幕

 

 

後書き

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